
建設工事追加工事の「言った言わない」トラブル!口頭契約の有効性と建設業法
追加工事の「聞いていない・頼んでいない」という踏み倒しトラブル。民法上の諾成契約(口頭契約)の成立要件と、
建設業法第19条(書面交付義務)および19条の3(不当に低い請負代金の禁止)の違法性を解説。
建設業法第19条(書面交付義務)および19条の3(不当に低い請負代金の禁止)の違法性を解説。

建設工事の「口頭契約・口約束」は有効か?追加工事の「言った言わない」と踏み倒しの違法性を解説
📜 民法における「諾成契約(だくせいけいやく)」とは
民法における大半の契約(売買契約・賃貸借契約・請負契約など)は、「諾成契約」が基本原則です。これは、契約書や書面がなくても、当事者同士の「合意の意思表示(頼む/引き受ける)」のみで成立する契約のことです。契約締結の申し込みに対して相手方が承諾した瞬間から、当事者には契約上の法的な義務が発生します。
⚠️ 口頭契約における最大の落とし穴:立証の壁
口約束の最大の課題は、「追加工事の金額」や「正確な工事範囲」に関する客観的な証拠が残らない点です。
いざ相手方が代金の未払いや踏み倒し(「聞いていない」「頼んでいない」)を起こした際、裁判や調停の場で「どのような内容でいくらの約束をしたのか」を施工者側が証明(立証)することが極めて困難になります。
建設工事の請負契約の当事者は、次に掲げる16項目を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければなりません。(※第19条第2項により、追加工事などの契約内容変更時にも同様に書面の相互交付が義務付けられています)
※なお、第19条第3項に基づき、事前に相手方の承諾を得た上で電子契約(電磁的措置)を利用する場合は、紙の書面交付に代えることができます。
📜 建設業法第19条の3(不当に低い請負代金の禁止)
第1項(注文者側): 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。
第2項(受注者側): 建設業者は、自らが保有する低廉な資材を用いることができる等の正当な理由がある場合を除き、通常必要と認められる原価に満たない金額で請負契約を締結してはならない。
📋 追加工事の請負トラブルを防ぐ3大鉄則
事前に変更書面を交わす |
施工に着手する前に、建設業法第19条第2項に基づき「工事内容変更合意書」や「追加見言書・注文書」を相互に交付する。 |
即時書面化(メール・LINE等) |
どうしても現場が急ぎで正式な書面が間に合わない場合は、「〇〇の追加工事(概算〇〇万円)を承りました」とメールやLINE、打合せ記録簿で即座に文字に残し、相手の了解の返信を得る。 |
写真・状況証拠の保存 |
追加工事を行う前と施工後の現場写真を撮影し、指示された日付と指示者の名前を記録に残しておく。 |
「今までお世話になっている元請だから」「気まずくて書面を出してと言えない」と口頭のまま工事を受けてしまうと、最終的に不利益を被るのは自社や下請け職人さんたちです。建設業法に定められた適正な書面作成や、契約トラブルに関する予防策についてしっかりと行う事が重要になってきます。
※留意事項
当ブログの記事は、行政書士試験合格者としての学習・研究の一環として作成したものです。現時点では行政書士登録前の立場であり、専門家としての助言や業務提供を目的とした内容ではありません。最新の法改正や個別事情については、必ず行政庁や専門家へご確認ください。