【福島県】 著しく低い労務費の禁止とは?改正建設業法の基準

【福島県】 著しく低い労務費の禁止とは?改正建設業法の基準

建設業法改正で強化された「著しく低い労務費の禁止」。
公共工事設計労務単価をベースとした適正な労務費の計算式や、見積もりに含めるべき手当の内訳を詳しく解説。

【福島県】 著しく低い労務費の禁止とは?改正建設業法の基準と適正な見積単価を解説

建設業界の「働き方改革」において、工期と並んで重要なのが「労務費(賃金)」の確保です。


改正建設業法では、技能者の処遇改善を目的として「著しく低い労務費」による契約が厳しく制限されました。
これは公共・民間を問わず、すべての建設工事が対象となります。


今回は、法的に認められる「適正な労務費」の基準と、見積作成時のポイントを整理して解説します。



著しく低い労務費の禁止とは?


「著しく低い労務費」とは、通常必要と認められる賃金の原資や法定福利費に比べて、不当に低い労務費のことを指します。


建設業法が定める4つの柱



  • ①不当な見積りの禁止:原価を無視した低い労務費での見積依頼・作成の禁止。

  • ②原価割れ契約の禁止:発注者・受注者双方が、赤字前提の契約を結ぶことの禁止。

  • ③リスク情報の共有:代金に影響する事象(資材高騰等)の事前通知義務。

  • ④契約変更協議:予期せぬ事象が発生した際、受注者は変更協議を申し出ることができ、注文者は誠実に応じる努力義務がある。


「適正な労務費」の計算基準


行政が指導・監督を行う際の「ものさし」として、以下の計算式が基本となります。


適正な労務費 = 公共工事設計労務単価(1日8時間) × 標準的な歩掛(単位あたり施工量)


※歩掛(ぶがかり):単位あたりの施工に必要な作業員数


労務費に含まれるもの・含まれないもの


区分 具体的な内容
含まれる 基本給相当額(基本給・出来高給)、諸手当(家族・通勤・住宅・現場・技能等)、賞与、退職金
含まれない 時間外(残業)手当、休日・深夜手当、突貫手当、赴任手当


実務で分かれる3つの見積パターン


国土交通省が示す「労務費の基準」に基づき、現場の条件や技能者のレベルに応じて見積額を調整する際のポイントを整理しました。



1. 施工条件が基準と異なる場合

現場の状況によって「歩掛(作業効率)」が変わるケースです。



  • 高く見積もる:小ロット工事など、基準より効率が悪くなる場合は、基準以上の単価設定が適正です。

  • 低く見積もる:逆に基準より効率が良い工事なら、合理的な範囲で低く交渉することも認められます。



2. 基準より「高く」見積もる場合(技能・環境評価)

平均的な技能者よりもコストがかかる合理的な理由があるケースです。



  • 高い技能:CCUSレベルが高い熟練工が施工する場合。

  • 特殊な状況:夜間工事や人手不足の影響で、確保コストが高い場合。


基準より高く見積もる場合の相関図

【図の解説】

総額が基準以上であっても、内訳で単価を不当に低く設定するような操作は不適正とみなされます。あくまで「適正な単価×適正な歩掛」での積み上げが求められます。



3. 基準より「低く」見積もる場合(生産性向上)

原則、基準を下回る見積りは「不適正」であり、著しい場合は「違法」となります。
ただし、最新機械の導入等により、実際に歩掛(工期)を短縮できる「生産性向上」が客観的に証明できる場合に限り、例外として認められます。


基準より低く見積もる場合の相関図

【図の解説】

無根拠な値引きは「著しく低い労務費」として建設業法違反のおそれがあります。基準を下回る価格を提示する際は、なぜその価格で施工可能なのか、説明根拠を準備しておく必要があります。


違反した場合のペナルティ(勧告・公表)


「著しく低い労務費」での契約は、発注者だけでなく、引き受けた受注者(建設業者)も禁止の対象です。


【適用対象となる工事規模の目安】


原則として、請負代金が500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事が、
行政による指導・監督の主な対象となります。


違反が認められた場合、許可行政庁は以下のような措置をとることがあります。



  • 発注者への勧告:行政から発注者へ是正を勧告。

  • 事実の公表:勧告に従わない場合、企業名等が公表されるリスク。

  • 受注者への処分:注文者が建設業者である場合は、指示処分などの対象。


まとめ:賃金で競う時代から、生産性で競う時代へ


「著しく低い労務費」での受注は、もはや経営努力ではなくコンプライアンス違反です。適正な労務費を確保することは、大切な職人を守り、会社の持続可能性を高めることにつながります。


見積作成の3箇条


1. 公共工事設計労務単価を「基準」として意識する。

2. 材料費と労務費を分けた「内訳明示」の見積書を作成する。

3. 特殊条件や高い技能が必要な場合は、単価を割り増す。


「今の単価設定で法的に問題ないか?」「改正法に合わせた見積書の見直しをしたい」などのご不安は、行政庁、専門家などに相談する事が重要となってきます。



※留意事項


当ブログの記事は、行政書士試験合格者としての学習・研究の一環として作成したものです。現時点では行政書士登録前の立場であり、専門家としての助言や業務提供を目的とした内容ではありません。最新の法改正や個別事情については、必ず行政庁や専門家へご確認ください。