【実務解説】 その工期、法律違反かも? 「著しく短い工期」の禁止規定と500万円以上の工事の注意点

【実務解説】 その工期、法律違反かも? 「著しく短い工期」の禁止規定と500万円以上の工事の注意点

「その納期、法律違反かもしれません」建設業法の働き方改革で強化された「著しく短い工期の禁止」。
元請・下請双方が対象となる罰則や、国土交通省の「工期に関する基準」に基づく適正な工期設定の考え方を解説。

【福島県】 著しく短い工期の禁止とは?建設業法の適正な工期設定の基準

「その工期、法律違反かもしれません」

建設業界で長年の課題となっている長時間労働の是正。
令和2年の建設業法改正により、働き方改革を促進するため「著しく短い工期の禁止」が明文化されました。

これは単なる努力目標ではありません。
違反すれば「勧告」や「公表」の対象となる、非常に厳しいルールです。

今回は、発注者・受注者双方が知っておくべき「工期適正化のポイント」と「違反のリスク」について、実務知識を整理して解説します。

建設業法が定める「工期適正化」の4規定

建設工事の適正な施工を確保するため、建設業法では以下の4つの規定が設けられています。

  • 著しく短い工期の禁止:通常必要と認められる期間を下回る工期設定の禁止。
  • 情報の事前提供義務:地盤沈下や資材高騰など、工期に影響する事象の通知。
  • 工期の細目(工程)の明示:見積書に作業内容と準備日数を記載する努力義務。
  • 契約書への不稼働日の明記:工事を施工しない日・時間帯の合意。

【抜粋】建設業法 第十九条の五(著しく短い工期の禁止)

第十九条の五 注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない。

2 建設業者は、その請け負う建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない。

(中略)

第二十条 建設業者は…材料費、労務費…その他当該建設工事の施工のために必要な経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を記載した建設工事の見積書を作成するよう努めなければならない。

「著しく短い工期」の判断基準とは?

何をもって「短い」と判断されるのか。一律の数字はありませんが、許可行政庁は以下の要素を個別に精査します。

  • 不稼働日の考慮:週休2日の確保や、雨天による不稼働日が計算されているか。
  • 過去の実績との比較:同種類似工事の平均的な工期と乖離していないか。
  • 見積内容の精査:建設業者が提出した見積書の工程に無理がないか。

▽ 国土交通省による「工期に関する基準」

工期に関する基準の概要

【図の解説】
上図の通り、工期は「着工から竣工まで」の期間を指します。しかし、単に期間を定めるだけでなく、この矢印の中に「週休2日の確保」や「雨天による不稼働日」が適正に盛り込まれているかが、建設業法(著しく短い工期の禁止)をクリアするための重要な鍵となります。

違反した場合のペナルティ(勧告・公表)

「著しく短い工期」での契約は、発注者だけでなく、引き受けた受注者(建設業者)も禁止の対象です。

※請負代金が500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事が対象となります。

違反が認められた場合、許可行政庁は以下のような措置をとることがあります。

  • 発注者への勧告:行政から発注者へ是正を勧告。
  • 事実の公表:勧告に従わない場合、企業名等が公表されるリスク。
  • 受注者への処分:注文者が建設業者である場合は、指示処分などの対象。
著しく短い工期の禁止に関する相関図

【根拠】建設業法 第十九条の六(勧告・公表)

第十九条の六

2 建設業者と請負契約を締結した発注者が前条の規定に違反した場合において、特に必要があると認めるときは、当該建設業者の許可をした国土交通大臣又は都道府県知事は、当該発注者に対して必要な勧告をすることができる。

3 国土交通大臣又は都道府県知事は、前項の勧告を受けた発注者がその勧告に従わないときは、その旨を公表することができる。

まとめ:週休2日を前提とした適正な工期設定を

これからの建設業界では、「気合と根性」で工期を間に合わせる時代は終わりました。
適正な工期設定は、企業のコンプライアンスを守るだけでなく、担い手(若手社員)の確保にも直結します。

工期設定の3つの鉄則

1. 週休2日、雨天、年末年始を考慮した工程を組む。
2. 見積り時には、準備日数や後片付けの日数も明確にする。
3. 注文者と受注者で、不測の事態(地盤、資材)の情報を共有する。

「この納期は法的に問題ないか?」「働き方改革関連の契約書見直しをしたい」などは、専門家や行政機関にご相談することが解決への近道です。

※留意事項

当ブログの記事は、行政書士試験合格者としての学習・研究の一環として作成したものです。

現時点では行政書士登録前の立場であり、専門家としての助言や業務提供を目的とした内容ではありません。

最新の法改正や個別事情については、必ず行政庁や専門家へご確認ください。